- 『歴史学のトリセツ: 歴史の見方が変わるとき』
- 筑摩書房
- 2022年09月08日頃
- ISBN: 9784480684363
- ちくまプリマー新書 410
歴史って面白い? つまらないならその理由を探るべく、歴史学の流れを振り返ろう。事実、記憶、視野の大小など、その変化を知れば、歴史の考え方が変わるはず。
はじめに——歴史って、面白いですか?
歴史って面白い?
歴史を面白いと思える人はおそらく少数派で、その要因は学校での歴史の授業にあるだろうということ。それでも、学校の先生たちは歴史の面白さを伝えようとしているはず。
ここまではわかるのだが、そのことが、学問としての歴史学に結びつけられるところがわかりにくいような……。うーん、一方における学校での歴史の授業とそこでの教育活動、他方における歴史学、この2つはそんなに簡単には結びつかない気がする。何かもっと媒介要因をいろいろ考えないといけないのではないか、あるいは媒介要因を入れると、むしろ、直接には関係しないという結論になるかもしれない?
本書のめざすところ
本書の目的は、歴史学が科学として成立し学問領域として制度化された19世紀から21世紀初頭までの歴史学の歴史を概観すること、そのうえで、現在の歴史学のありようと特徴とを明らかにすること。そのさい、科学性、スケール(規模・範囲)、記憶との関係の3点に着目する。この3点は、著者によれば、歴史が面白いことを主流派の歴史学が伝え切れていない要因に対応するとされる。
歴史を面白いと思えないことと、歴史学の歴史とが、どう関係してくるのか。なんとなくあまり関係ないように見えるのだが、どうなのだろう。というか、そもそも一般の人が歴史に接することに、学としての歴史学はそれほど関わっていないような……。学校で学ぶ歴史は、歴史学だけなく、もっと他の要因が背後にはたらいているだろうし、小説やマンガやアニメやドラマや映画といったエンタメに表れる歴史は、歴史学とはかなりかけ離れたところで独自に展開している気もする。そのあたりのことも議論の射程に入ってくるのかもしれない。